18世紀後葉から各地で新たに始まった陶磁器生産は、19世紀に入ってさらに盛んになり、幕末期にかけてまさに百花繚乱な様相になったといえる。
当該期における陶磁器の生産・消費に関しては、1994・2002年にも当研究会のテーマとしてとりあげた。それから20年経ち、肥前・瀬戸美濃の二大生産地ではさらに研究が進み、生産器種の変遷の細分化、生産技術の出現時期などの研究もおこなわれ、消費地遺跡での年代観を検討する上で採用されている。また、2002年の大会で、関西諸窯の陶磁器が18世紀後葉以降に大きくシェアを広げたことが明らかとなったが、生産状況や技術的系譜など不明な点もあった。近年、窯跡・窯道具の特徴から、窯はいくつかの技術的系譜に分かれることがわかり、製品の特徴などから窯の特定につながっている。とはいえ、膨大な陶磁器資料を目の前に、消費地では産地を認識しきれないという実態もある。
このため、今回の大会では二大生産地である肥前・瀬戸美濃のほか、畿内・四国・中国地方の窯をとり上げ、生産状況や生産器種から特徴を提示し、関西周辺の代表的な消費地での一括資料を中心に消費状況を考察する。これにより、関西圏における幕末期にかけての生産と消費の実態をより明らかに提示することが本大会の趣旨である。
【開催方法と開催日程】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■開催方法 : 対面での実施を予定しています。
■開催日程: 2022年12月3日(土)・4日(日)
■開催地 : 大手前大学さくら夙川キャンパス E104教室(E棟1階)を予定
〒662-8552 西宮市御茶屋所町6-42■アクセス : 阪急夙川駅から南へ徒歩10分、JRさくら夙川駅から西へ徒歩10分、
阪神香枦園駅から北へ徒歩10分 ■宿泊について: 大学周辺にはなく、大阪駅・三宮駅周辺にございますので
各自で予約願います。
■懇親会について:新型コロナウイルスの感染状況によりますが、第一日目の夕刻
から、会場周辺で忘年会を兼ねた会費制の会を計画しています。
詳しくは、決定次第メールにてご案内いたします。
■遺物検討について:今回の大会では、実際の遺物を前に検討する時間を設けたいと
考えています。そこで、大会参加者の皆様の中で出土遺物を大会会場
まで持参していただける方がいらっしゃればぜひお願いいたします。
■その他:今大会では新型コロナウイルス感染症対策を講じますので、大会参加者様
にはご協力のほどよろしくお願いいたします。
<大会プログラム>
■第一日目 12月3日(土)
13:00 受付開始
13:30 開会挨拶 松尾信裕
13:35 共催挨拶 森下章司 氏
13:40 事務連絡 事務局
13:45 問題提起 赤松和佳「19世紀における陶磁器生産と消費における問題提起」
14:00 報告1(生産遺跡) 金子健一 氏「瀬戸」
14:40 報告2(生産遺跡) 山本文子 氏「江戸後期における肥前陶磁生産の様相」
15:20 (休憩)・・・個別で遺物検討
14:40 報告3(生産遺跡) 片山博道 氏「萩における19世紀の陶磁器生産」
14:40 報告4(消費遺跡) 赤松和佳「19世紀の消費遺跡における陶磁器の
産地分類基準について」
17:00 事務連絡 事務局
17:10 (散会)
18:00 (懇親会予定)
■第二日目 12月4日(日)
9:30 受付開始
9:55 事務連絡 事務局
10:00 報告5(消費遺跡) 渡邉晴香「近畿出土の19世紀陶磁器の様相について」
10:40 報告6(消費遺跡) 小田木富慈美「19世紀の大坂における陶磁器消費の様相」
11:20 報告7(消費遺跡) 加藤雄太「19世紀京都の陶磁器様相」
12:00 (昼食・休憩・・・その後は暫時個別で遺物検討)
12:50 遺物検討
13:30 討論(司会 川口宏海・赤松和佳)
15:00 閉会挨拶 松尾信裕
15:05 事務連絡 事務局
15:10 (散会)
<紙上報告>
生産遺跡:畑中英二・稲本悠一・倉澤佑佳 氏「湖東焼」
義則敏彦 氏「新宮焼と桃形鉢」
榊原博英 氏「石見焼」
石岡ひとみ 氏「砥部焼」
消費遺跡:原田健司・伊藤蔵之介 氏「信州松本における陶磁器の出土傾向について」
濱崎 健 氏「名古屋城下町と城下町近郊における19世紀の陶磁器様相」
須藤 梢・濵辺一機 氏「桑名城下町出土の陶磁器‐江戸後半期を中心として‐」
井馬好英 氏「和歌山城下およびその周辺の様相」
宇野雄貴 氏「19世紀 伊丹郷町の陶磁器様相」
渡邊昭人 氏「亀居城関連遺跡」
竹内裕貴 氏「丸亀城下町における19世紀の陶磁器様相について」